目覚ましの音も鳴らない。
いや、設定していないのだ。
起きる理由がないのだから。
今日も朝が来てしまった。
ただただそれだけで、心に鈍い鉛のような重みがのしかかる。
眠ったはずなのに、何ひとつ回復していない。
身体は鉛のように重く、目を開けるのも、息をするのも、どこか億劫だ。
うつ病という病気は、どこかに目に見える傷があるわけじゃない。
血も流れていない。
骨も折れていない。
だが、確かに死にたいと思わせるほどの痛みが、毎日、毎時間、毎秒、心のど真ん中で脈打っている。
「また生きてしまった」と思う。
「死にたい」とは違う。
「消えていたかった」という感覚に近い。
誰の記憶にも残らず、何の責任も負わず、音もなくこの世界から溶けていきたい。
それでも何かを食べないといけない。
薬を飲まないと、もっと深い底へ引きずり込まれる。
だが冷蔵庫を開けることさえ、果てしない冒険のように思える。
顔を洗う気力がない。
風呂は何日も入っていない。
部屋には空になったペットボトルと脱ぎ捨てた服、放置された洗濯物。
視界に入るものすべてが、自分のだらしなさの証拠のようで、ひどく辛い。
スマートフォンには通知がたくさん溜まっている。
友人、家族、支援者――心配してくれているのかもしれない。
でも返せない。
返す力がない。
何か言葉を選んで、感情を整えて、文章を打って、送る――その一連の行為が、もはや別世界の人間にしかできないようなことに思える。
ただただ、布団の中で時間が過ぎていく。
昼なのか夜なのか、曖昧なまま、カーテンも開けず、空気のこもった部屋で、ぬるい絶望に沈んでいく。
外からは子どもの声がする。
働く人たちの足音、自転車のブレーキ音、郵便のバイク。
世界は、何もなかったかのように今日も動いている。
私だけが取り残されている。
私だけが壊れている。
そして、そんな自分を責める声が、また心の中で鳴り響く。
「甘えてるんじゃないのか?」
「こんなの言い訳だろ」
「本当に努力してるのか?」
誰かに言われたわけじゃない。
でも確かに聞こえる、脳内の毒。
うつ病の真に恐ろしいところは、外からの攻撃ではなく、内側から自分自身をじわじわと腐らせていくところだ。
人と比べるなと何度も言い聞かせても、SNSにはキラキラした生活や成功体験があふれている。
大学を卒業して働いている人、結婚して家庭を築いた人、夢を追いかけて輝いている人。
私はどうだ? 今日も何もしていない。
ただ生きているだけ。
それすらもやっとの状態。
もう何年も、まともに働けていない。
目標なんてとっくに見失った。
夢なんて言葉を聞くだけで嘲笑われている気分になる。
「死ぬ勇気はないんだな」
「いつ死ぬの?」
「生きてる意味あるのか?」
そう思ってしまう日もある。
いや、ほとんど毎日だ。
だが、死ぬという行為すら、自分には過ぎた贅沢に思えてくる。
家族に迷惑がかかる。
後始末をする人がいる。
そんな想像ばかりが浮かんで、結局何もできない。
ただただ、死にたいのに死ねず、生きたくないのに生き続ける――それがうつ病地獄だ。
誰かに助けてほしい。
けれど、助けを求める言葉が浮かばない。
誰かに寄り添ってほしい。
でも、こんな自分では嫌われて当然だと感じてしまう。
支援の窓口に電話をかけようと何度もスマホに指を伸ばす。
でも、通話ボタンを押せない。
「ごめんなさい」「すみません」「大丈夫です」と、何の根拠もない言葉が先に出てしまいそうで怖いのだ。
そうして今日もまた、無言のまま時間だけが流れる。
いつ眠ったのかもわからない。
気づけば夜が来ている。
テレビの音が隣の部屋から漏れてくる。
部屋の隅に置いたカレンダーは、めくることもされず数ヶ月前のまま止まっている。
明日は今日と同じ一日がまた繰り返されるのだろう。
生き地獄。
抜け道のない迷路。
希望という言葉の記憶さえも色褪せてしまった世界。
それでも、どこかに小さな灯りが残っているのかもしれない。
こんな文章を書くことができるのも、ほんの少しだけでも「言葉にしよう」と思ったから。絶望の奥に、かすかな叫びがあるから。
そして、もしこの言葉が誰かに届くのなら。
「あなたは一人じゃない」と、誰かが言ってくれるのなら。
それがほんの一瞬でも、うつ病地獄の闇の中に、微かな光になるかもしれない。
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良かったら読んでいただけたらと思います
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https://note.com/reimi_tutu/n/nba0d2059f547
医師にタンパク質を摂りなさいと言われたので。
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私の時にこれらを利用してたら、また違った人生だったかもしれない。
うつの時ってひとりではどうにもならないよね
私は大変だったんだ