朝か、夜か。
わからない。
この部屋には時間というものが存在しないような気がしてくる。
カーテンを閉めきったまま、ずっと薄暗い。
時計を見ても、針の動きが信じられない。
「今は本当に今日なのか?」
そう問いながら、私はベッドに沈み込んでいた。
ふと、五年前のことを思い出す。
朝、駅のホームで吐き気を堪えていた自分。
会社へ行くのが怖くて、でも行かないわけにもいかなくて、スーツ姿で震えていた。
その頃の私はまだ、「なんとかなる」と思い込もうとしていた。
だけど、結局何ともならなかった。
その感覚が今も、私の身体にこびりついている。
あの頃の空気、重さ、緊張。
なぜ、時間が過ぎても苦しさだけは消えないんだろう。
カップ麺の湯を注ぐことすら、今日はできなかった。
流しに昨日の食器が積まれたままだ。
でも、洗う気力も起きない。
きっと明日もそのままだろう。
一日中、ソファに沈んでいた。
テレビはつけっぱなし。
何を放送していたか、覚えていない。
ただ、音がしているだけで少しだけ安心できる気がする。
でも、静寂のほうがいい気もする。
どちらにしても、心の中のざわつきは止まらない。
外に出た記憶がない。
最後に太陽を見たのは、いつだったろう。
あの日、近所の公園の前を通ったとき、ベンチに腰掛けて笑っていた老夫婦の姿が焼きついている。
幸せそうだった。
あの人たちは、今もあの笑顔のままだろうか。
それともあれは、私の幻だったのか。
昼過ぎ、スマホを手に取った。
通知はゼロ。
誰からも連絡はない。
でも、それでいいのかもしれない。
誰かと話すのが、怖い。
声を出す自信がない。
返事をしなければというプレッシャーに負けそうになる。
人と会わなくなって、何ヶ月経ったんだろう。
カレンダーの数字はただの記号になってしまった。
平日も休日も、関係ない。
「今日が何曜日かわからない」なんて、笑い話ではなく、現実になっている。
午後、少しだけ眠っていたのかもしれない。
夢を見た。
夢の中で私は普通に歩いていた。
朝の光を浴びて、コンビニでコーヒーを買っていた。
店員に「ありがとうございます」と笑顔で言われて、私も笑っていた。
目が覚めたとき、涙が頬を濡らしていた。
そんな日常が、夢になってしまったんだ。
過去の記憶と、今の現実が混ざっていく。
脳が溶けていくような感覚。
何が本当で、何が作り物なのか、自分でもわからない。
本当に今日なのか?
私はちゃんとここに存在しているのか?
夜。
食事はとっていない。
胃は空っぽだけど、空腹も感じない。
この身体は、私に何も求めてこない。
まるで生きることを諦めたようだ。
それは、ある意味で楽でもある。
もう期待されない、頑張らなくていい、ということだから。
ただ、たまにふと、
「このまま何も変わらないのかな」と思ってしまう。
そうすると、一気に不安が押し寄せてくる。
「ずっとこの部屋の中で朽ちていくのか」
「私は社会から完全に消えてしまうのか」
「誰にも気づかれずに死ぬのか」
そんな未来ばかりが頭をよぎる。
「助けて」
心の中で何度も叫んでいる。
けれど、誰に向かって?
誰かに頼ることすら怖い。
もう何度も「わかってもらえなかった」経験が、私を怯えさせている。
わかってほしかっただけなのに。
「つらいね」と、一言寄り添ってほしかっただけなのに。
「甘え」「怠け」「自分に甘いだけ」と返されたその言葉のナイフは、今も体のどこかに突き刺さったままだ。
もう寝よう。
でも、眠れるかわからない。
布団にくるまって、ただ目を閉じる。
暗闇は優しい。
すべてを見えなくしてくれるから。
だけど、心の中の声だけは、消えてくれない。
「お前は生きてる意味がない」
「誰の役にも立ってない」
「存在する価値がない」
その声が耳の奥でささやいてくる。
もう耳をふさぎたい。
でも、身体が動かない。
今日も、地獄だった。
でも、私はこの日をなんとか生き延びた。
それが、今の私の全て。
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医師にタンパク質を摂りなさいと言われたので。
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ひとりではどうにもならない時あるよね
私は大変だったんだ