朝が来た。
カーテン越しにぼんやりと射し込む光が、まるで罪の告白のように部屋の中を照らす。
まぶしい。
胸がざわざわする。
光は希望を連れてくると、昔の誰かが言っていた。
でも今の私にとっては、ただの責め苦だ。
今日もまた、生きなければならない一日が始まってしまった。
布団の中にうずくまりながら、頭の中で繰り返されるのは、「死にたい」「消えたい」「終わりにしたい」という言葉たち。
決して口には出さない。
でも心の中では毎日、百回以上は呟いている。
もう何年もこの調子だ。
なのに、誰にもそれを伝えられない。
伝えたところで、結局は「気持ちの問題」とか「前向きに」とか、そんな言葉で片づけられるだけだから。
朝食? 食べるわけがない。
食欲なんてものはもうどこか遠い場所に消えてしまった。
というより、食べる意味がわからない。
栄養? 健康? 生き延びるため? そんなもの、私にとってはどうでもいい。
むしろ、栄養を取らなければいずれ衰弱して死ねるかもしれない、そんな期待すら抱くほどだ。
携帯が鳴る。
友人からのLINEの通知。
「久しぶり、元気にしてる?」と明るいメッセージ。胸の奥に鉛の塊が沈んでいく。
返せない。
元気なふりなんてもうできない。
でも、「うつで寝込んでます」と正直に言う勇気もない。
ただ通知を消して、また画面を伏せる。
人と話すことが怖い。
笑わなければいけない。
相槌を打たなければいけない。
話題を探さなければいけない。
全部、私にはできないことだ。
目の前にいる相手に対して、心の中では「早く終わってくれ」とずっと念じている。
なのに、会話が終わると「こんな自分は最低だ」と自己嫌悪に襲われる。
何をしても、苦しい。
かつてはできていたことが、今はすべて困難になっている。
歯を磨くことすら苦行だ。
服を着替えるのも気力がいる。テレビも見られない。
本も読めない。
音楽も耳障りでしかない。
まるで世界のすべてが私を拒絶しているような気がして、どこにも居場所がない。
親からの電話も無視している。
「最近どうしてるの?」という声が頭の中に蘇るたび、胸が締め付けられる。
心配してくれているのはわかる。
でも、答える言葉がない。
「何もしてない。
何もできない。
何の希望もない」なんて言えないから。
せめて親には心配をかけたくない。
でも、嘘をつく気力ももうない。
夜になると少しだけ楽になる。
なぜなら、「一日が終わる」からだ。
朝の絶望と違って、夜は終焉のような静けさがある。
けれど眠れない。
目を閉じても、不安や後悔や、意味不明な恐怖がぐるぐると頭の中で渦巻いていて、全身の神経がずっと張りつめている。
ベッドの上で何時間ももがき苦しんだあげく、いつの間にか意識が飛ぶように眠る。
そしてまた、地獄のような朝が始まる。
こんな日々を何年も繰り返していると、自分が人間だったことすら忘れそうになる。
社会の一員でもない。友達もいない。
家族とも距離がある。
誰にも必要とされていないと感じる。
何のために生きているのか、何を目指せばいいのか、何が正解なのか、全くわからない。
ただ、「この苦しみから解放されたい」ということだけが、唯一の真実だ。
病院にも通っている。
薬も飲んでいる。
カウンセリングにも行った。
でも、楽にはならなかった。
むしろ、「治療しているのに治らない自分」に対する絶望が、さらに自分を追い込んでいった。
「病気なのだから仕方ない」と自分に言い聞かせても、「いつまで?」という問いがつきまとう。
「一生このままだったらどうしよう」という恐怖。
未来が怖い。
過去も痛い。
現在は地獄。
ときどき、「もう十分に頑張ったよ」と思うことがある。
自分なりに、必死で生きてきた。
耐えてきた。
我慢してきた。
なのに、それでも報われなかった。
その思いがふと、心の底から湧き上がってくる。
「終わらせてもいいのではないか」と。
でも、その先にあるものがわからないから、結局今日も生きてしまう。
うつの地獄とは、何もできないことではない。
本当の地獄は、「自分が壊れていくのを毎日眺め続けなければならないこと」だ。
まるで鏡の前で、自分が腐っていくのを見せられているような感覚。
そしてそれを、誰にも共有できない。
理解されない。
届かない。
誰かに助けてほしい。
でも、誰にどうやって助けを求めればいいのかがわからない。
助けてと叫ぶことすら、もうできない。
そんな状態が、私の日常だ。
それでも今日、こうして文章を書いている。
なぜかはわからない。
ただ、せめてこの苦しみの存在を、どこかに刻んでおきたかった。
誰かに届くかもしれない、という一縷の希望だけを抱いて。
私はまだ、生きている。
地獄の中で、うずくまりながら。
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医師にタンパク質を摂りなさいと言われたので。
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私の時にこれらを利用してたら、また違った人生だったかもしれない。
ひとりではどうにもならない時あるよね
私は大変だったんだ