
――生きていてはいけない気がする――
朝が来るたび、罰のように目が覚める。
空気は重く、肺に入るたび「まだいるのか」と責めてくる。
鏡に映る顔は、ここに存在していい理由を一つも持っていない。
歩けば邪魔、黙れば無価値、息をすれば誰かの迷惑。
そんな判決文が、心の奥で何度も読み上げられる。
何かを成し遂げなくても生きていい、という言葉は遠い国の法律だ。
この世界では、役に立たないものは棚から落とされ、
落ちた音さえ気に留められない。
自分は最初から床に転がっていたような気がする。
拾われる予定も、修理される希望もない。
笑う顔を作れば嘘つきになり、
正直でいれば重たい存在になる。
どちらを選んでも「ここにいてはいけない」という結論に戻る。
胸の内側で、黒いスタンプが何度も押される。
却下、却下、却下。
夜になると、世界はさらに正直だ。
灯りの向こうで誰かが続けている普通の生活が、
自分だけを透明にする。
透明なのに痛みだけは確かで、
消えたいのに消えられない矛盾が骨に染みる。
それでも朝は来る。
来てしまう。
来てしまうたびに、「生きていてはいけない気がする」という
錆びた釘が、心に一本ずつ増えていく。
抜けない。曲がる。血だけが残る。
――そんなふうに感じてしまう日が、確かにある。
言葉にすると、悲惨さは少しだけ形を持つ。
形を持つぶん、いまここで息をしている事実だけは、
まだ消えずに残っている。