
もう戻れない頑張れない人間の記録 その47
「家族の前でさえ、ちゃんとできない」
家族がいるのに、
家族のために頑張れない。
これがいちばん苦しい。
他人に迷惑をかけるのもつらいけど、
本当に刺さるのは、
一番大切にしたい人たちに
何も返せていないという感覚だ。
「大丈夫?」と聞かれるたびに、
大丈夫じゃない自分が申し訳なくなる。
優しさが、重い。
昔は、守る側のつもりだった。
働いて、支えて、笑わせて。
それが“普通”だと思っていた。
でも今は、
朝起きることさえ不安定で、
一日を無事に終えるだけで精一杯だ。
「頑張らなくていいよ」と言われると、
ありがたいのに、どこかで
“頑張らない人間”に正式に認定された気がする。
家族の笑い声が遠く聞こえる日がある。
同じ部屋にいるのに、
ガラス越しみたいに。
孤独って、
一人のときよりも、
みんなの中で感じるほうが痛い。
「戻りたい」と思う。
元気だった頃の自分に。
迷いなく動けた自分に。
でも、あの頃の自分は
今のこの状態を想像もしていなかっただろう。
だから、戻れない。
戻れないから、
せめて今日をやり過ごす。
皿を一枚洗えた。
それだけで今日は終わりでいいことにする。
家族の前でうまく笑えなかったけど、
怒鳴らなかった。
それだけで、今日は合格にする。
頑張れない人間の記録は、
成功の記録じゃない。
それでも、
壊れきらなかった日の記録だ。
今日も、生き延びた。
それだけは、
誰にも否定させない。