
うつ病の地獄は、「苦しい」とすら言い切れないところにある。
苦しいなら、まだ理由がある。
でもこれは違う。
理由がないまま、ただ重さだけがのしかかってくる。
頭の中がずっと曇っている。
考えようとしても、霧の中で手探りしているみたいで、何もつかめない。
簡単なことすら決められない。
服を選ぶ、食べる、シャワーを浴びる。
そんな当たり前が、一つひとつ「壁」になる。
時間の感覚も壊れる。
5分が何時間にも感じるし、
気づけば1日が終わっている。
でも「何もしていない自分」だけは、はっきり残る。
そして、頭の中にずっと流れている声。
「なんでこんなこともできないんだ」
「価値がない」
「いないほうがいい」
止めようとしても止まらない。
否定しようとしても、なぜかそっちのほうが正しく感じてしまう。
眠ることすら逃げ場じゃない。
寝ても疲れは取れないし、
夢の中でも苦しい。
起きた瞬間、「また始まるのか」と絶望する。
人と会うと、普通を演じる。
笑って、うなずいて、なんとか合わせる。
でもその裏で、どんどん削られていく。
帰った瞬間、全部崩れる。
孤独なのに、人が怖い。
助けてほしいのに、関わる力がない。
矛盾の中で、身動きが取れない。
そして一番深い地獄は、
「この状態に慣れてしまうこと」。
苦しいのが当たり前になって、
これが自分なんだと思い始める。
抜け出す発想すら消えていく。
希望がないわけじゃない。
ただ、見えない。
遠すぎて、存在していないのと同じになる。