
目が覚めた瞬間、思う。
「まだ終わってないのか」
眠っている間だけが、唯一の逃げ場なのに、
その逃げ場から無理やり引き戻される。
朝は始まりじゃない。
ただの“再開”だ。
昨日の地獄の、続き。
体は重いとかじゃない。
鉛みたいに、意思を拒否する。
起き上がろうと考えるだけで、
見えない何かに押さえつけられる。
気合じゃどうにもならない。
根性なんて、最初から存在しないみたいに消えている。
頭の中は、静かじゃない。
むしろ逆だ。
ずっと責め続ける声が止まらない。
「怠けてるだけだろ」
「甘えるな」
「生きてる価値ないだろ」
一秒も休ませてくれない。
外には敵がいなくても、
内側に、逃げられない敵がいる。
時間が歪む。
1分が、異常に長い。
でも一日が終わった後には、何も残っていない。
何もしていないのに、
すべてを削られている感覚だけがある。
何も感じられない。
楽しいも、嬉しいも、全部死んでいる。
でも苦しさだけは消えない。
感情の中で、
“苦しみ”だけが異常に鮮明に残る。
まるで、痛みだけを増幅する世界に閉じ込められているみたいに。
外の世界は普通に流れている。
人は働いて、笑って、生きている。
それが見えるほど、
自分だけが「外側」にいるとわかる。
同じ世界にいるのに、
もう別の場所に落ちている。
誰にも届かない。
説明しても軽く流される。
「みんな大変だからね」で終わる。
この地獄は、共有できない。
だから余計に、深くなる。
孤独が、苦しさを何倍にも膨らませる。
終わらない。
これが一番きつい。
怪我なら治る。
風邪なら終わる。
でもこれは、
「いつ終わるのか」が一切わからない。
出口のないトンネルを、
歩かされ続けている。
生きているのに、
生きている感覚がない。
ただ時間と苦しみだけが流れていく。
それでも心臓は止まらない。
止まってくれない。
これが、生き地獄。
死ねないまま、
壊れ続ける状態。
終わりを望みながら、
終わりが来ない時間の中に閉じ込められている。