
生きているはずなのに、どこにも逃げ場がない。
朝、目が覚めた瞬間から恐怖は始まる。
眠っている間だけが唯一の無で、その無から引きずり出されるように現実へ戻される。
体は重く、心はもっと重い。理由なんてない。ただ「また始まる」という感覚だけが、喉元に刃物のように突きつけられる。
外の世界は何も変わっていない。
空は同じ色で、音も同じように流れている。
それなのに、自分の中だけが壊れている。
まるで世界から切り離された透明な牢屋に閉じ込められているみたいだ。
一番怖いのは、この苦しみが終わらないかもしれないという予感だ。
痛みなら耐えられる。
終わりがあると分かっていれば。
でもこれは違う。終わりが見えない。
「このままずっと続くのではないか」という考えが、ゆっくりと首を締めてくる。
人と話しても、言葉は表面を滑るだけ。
笑っても、それが自分の感情じゃないことを知っている。
「普通」に見えるほど、内側の崩壊が際立つ。
助けを求めることすら怖い。
理解されないことが分かっているから。
「気の持ちようだ」とか「頑張れ」とか、そんな言葉がさらに深く突き刺さる未来が見えるから。
だから、ただ耐えるしかない。
何もしていないのに、消耗していく一日。
何も進んでいないのに、取り返しのつかない何かが削れていく感覚。
夜になると、少しだけ楽になる。
でもそれは救いじゃない。
また明日が来ることを知っているからだ。
眠る前、いつも同じことを考える。
「どうか、このまま目が覚めなければいい」と。
それでも朝は来る。
そしてまた、同じ恐怖が始まる。