
気づくと、もう始まっている。
はっきりとした合図なんてないのに、いつの間にか心の奥に冷たいものが広がっている。
それは「怖い」という言葉だけでは足りない感覚だ。
名前をつけようとしても、どれも違う。
不安とも違うし、絶望とも少し違う。
ただ、じわじわと体の中を侵食してくる何か。
何も起きていないのに、何かが起きる気がしてならない。
でも、その「何か」は永遠に正体を見せない。
だから余計に怖い。
逃げようとしても、逃げ場がない。
外に出ても同じ。
部屋にいても同じ。
どこにいても、その感覚はぴったりと張り付いてくる。
むしろ、自分の中にあるからこそ、逃げられない。
時間が歪む。
時計は動いているのに、体感だけが止まっている。
一秒一秒が重くて、前に進まない。
「耐える」という言葉がこんなにも現実的になるとは思わなかった。
何かと戦っているわけじゃないのに、ただ存在しているだけで消耗していく。
ふと、「普通って何だったっけ」と考える。
何も感じずに過ごせていた時間。
安心して息をしていた時間。
それがどれだけ遠いものだったのか、今になって思い知らされる。
周りの人の声が遠く感じる。
会話も、景色も、すべてに薄い膜がかかっているみたいだ。
現実にいるはずなのに、現実じゃない場所にいるような違和感。
そして、また頭の中に浮かぶ。
「これが終わらなかったらどうしよう」
その一文が、静かに、でも確実に心を締めつける。
大きな音も、派手な出来事もない。
ただ、静かに続いていく恐怖。
それが一番、逃げ場がなくて苦しい。
今日もまた、同じ感覚の中にいる。
終わりが見えないまま、それでも時間だけは進んでいく。
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小児がんと難病の子から元気をもらう
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