うつ地獄日記:終わらない朝、始まらない一日
朝、目が覚める。
目覚ましの音でではない。
音も光も、人の気配もないまま、ただ「目が覚めた」ことだけが事実として残る。
時計を見る。
午前4時。
まだ外は暗い。
なぜ起きたのか、なぜ眠れないのか、問いかける気力すらもうない。
ただ、脳の奥に冷たい塊がある。
それは不安ではなく、恐怖でもなく、もっと無味無臭のもの。
言葉にならない重さで、心を圧し潰してくる。
再び目を閉じる。
眠れるはずがない。
体は鉛のように重く、ベッドはまるで地獄の底に通じているかのように深い。
起き上がろうとすれば吐き気がする。
心臓の鼓動が速くなる。
何もしていないのに、体が「拒否」する。生きることを、動くことを、今日という一日を。
6時。
外がうっすらと明るくなる。
鳥の声が聞こえる。
その声が、胸を刺すように痛い。
「今日もまた、始まってしまった」という絶望。
普通の人間にとっては、朝は始まりの象徴かもしれない。
けれど私にとっては「続き」だ。昨日と同じ苦しみの、延長戦。
何も変わらない、誰にも助けられない、絶望の連続。
誰かに連絡しようか、と思う。スマホを手に取る。
SNSを開く。
そこに並ぶのは「今日もがんばろう」「朝活最高!」そんな言葉。
まるで異世界。
異なる星の住人たち。
彼らの生活は現実で、私の現実は虚構なのか。
いや、むしろ私の方が「間違った現実」を生きているのかもしれない。
気がつくと、涙が出ていた。
理由は分からない。
感情があるわけではない。
ただ、涙だけが体の中に溜まった「なにか」の出口になっている。
泣くことで少しでも軽くなるならまだ救いがある。
けれど現実は違う。泣いても、苦しみは消えない。
ただ顔が濡れて、喉が詰まり、呼吸が苦しくなるだけ。
8時。周囲の家からは生活音がする。
朝食を作る音、歯磨きの音、子どもたちの声。私の世界とは無関係の音。
けれど壁越しに確かに聞こえてくる。
そうして現実を突きつけられる。
「私は今、生きていることから取り残されている」と。
ここに存在しているのに、誰にも気づかれず、必要とされず、ただ空気のように漂っている存在。
無理にでも体を動かそうと、ベッドから這い出す。
立ち上がると目眩がする。
手が震える。
洗面所に行く。
鏡の中の自分と目が合う。
その顔は、かつての自分ではない。
生気のない目、こけた頬、髪は乱れ、肌はくすんでいる。
これは「生きている人間」の顔だろうか。
むしろ「生き残ってしまった人間」のようだ。
朝食を摂る気力もない。
冷蔵庫を開けても、何も口に入れたくない。
食べる意味が分からない。
どうせ今日も、何も成し遂げられないのだ。
シャワーを浴びる気力もなく、着替えもせず、布団に戻る。結局、何もできなかった。
何一つ、前に進んでいない。
むしろ、後退している。
自分がどんどん「人間」であることをやめていくのを感じる。
午後。ベッドの中でぼんやりと天井を見つめながら、過去のことを考える。
あの頃は働けていた。
友人と笑い合えた。
将来に希望が持てた。
けれど、あれは本当に自分だったのだろうか? 思い出せば思い出すほど、その「過去の自分」が嘘のように思える。
今の自分が本当の姿なのではないか。
無能で、誰にも愛されず、何もできない、ただの「荷物」。
誰かに助けてほしい、と思う。
けれど助けてほしい理由を説明できない。
「うつ病です」と言っても、返ってくるのは「気持ちの問題だよ」「前向きになろう」「自分を甘やかしすぎじゃない?」そんな言葉。
刺すように痛いその言葉たちが、さらに私を沈める。
だからもう、誰にも何も言えなくなった。
夕方。空が暗くなってくる。
夜が近づく。そのことが少しだけ安堵をくれる。
ようやく「今日」が終わるのだ。
何もできなかった一日でも、それでも終わってくれるのなら、それはひとつの救い。
夜がすべてを隠してくれるから。
真っ暗な部屋の中で、スマホの光だけを見つめながら、時間が過ぎていくのを待つ。
そして夜中、また眠れずに天井を見つめる。
心は疲れきっているのに、眠りは訪れない。
思考は堂々巡りを続ける。
「このままじゃダメだ」「でも、どうしようもない」「私はもう終わっている」。
そんな声が頭の中を何度もぐるぐる回る。
まるで永久に再生される呪いのように。
眠れないまま、また朝が来る。
絶望のリピート。
抜け出せない悪夢。
それが、私のうつ地獄の毎日だ。
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医師にタンパク質を摂りなさいと言われたので。
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私の時にこれらを利用してたら、また違った人生だったかもしれない。
ひとりではどうにもならない時あるよね
私は大変だったんだ